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図-1 年代別の事件数 |
図-2 事件区分と要因区分 |
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図-3 事件区分と判決区分 |
図-4 審判区分と判決区分 |
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2.原告と被告の属性区分と判決区分別の事件数 |
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図-5には原告の属性区分と判決区分を、図-6には被告の属性区分と判決区分を示しました。
原告の属性区分では、個人と集団が約9割近くを占め、判決区分においては「集団」の場合に「却下・棄却」となる割合が高くなる傾向が見られます。一方、被告の属性区分では「法人」が対象となる場合が多く、また、「行政」の場合には「却下・棄却」が「容認・和解」を上回る結果が見られます。 |
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図-5 原告の属性区分と判決区分 |
図-6 被告の属性区分と判決区分 |
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3.工事種別と被害区分別の事件数 |
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図-7は工事種別の事件数、図-8は被害区分別の事件数を要因区分別に示しました。
図-7の工事種別を見ると、内外要因とも「建築工事」が多く、総件数では約4割を占めます。要因別に見ると外的要因では、建築工事以外でもその他様々な工事において見られ、また、内的要因では「不動産取引」が特に多く目立ちます。
図-8の被害区分別を見ると、「沈下・陥没」が全体の5割弱を占め最も多く、外的要因では「振動」、内的要因では「欠陥」が多く見られます。 |
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図-7 工事種別と要因区分 |
図-8 被害区分と要因区分 |
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4.工事種別と被害区分別の請求額と判決額 |
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図-9は工事種別、図-10は事件別の1事件当たりの請求額と判決額の平均額を示しました。但し、金額の全体像を見るため、1件あたり1億円を超える事件は除き、また、事件数が3件を下回る工事種別は除外してあります。
また、金額にはそれぞれ建物等の本体請求額の他に、慰謝料や移転費、弁護士費用、調査費用などが含まれます。「判決額比率」は請求額に対する判決額の割合を示しています。
全体を見ると請求額の平均は約2,500万円に対し、判決額は約1,200万円と判決額比率はおおよそ5割程度です。
図-9の工事種別を見ると、図-7で最も事件数の多かった「建築工事」の請求額と判決額が最も低く、「道路工事」が最も高いですが、事件数は4件と少ないため、必ずしもこれが傾向を示しているものとは言えません。一方、不動産取引の判決額比率が7割である事は特徴的です。
図-10の事件区分を見ると「損害賠償」が請求額、判決額共に多く、「行政訴訟」では請求が容認された1事例のみでした。 |
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図-9 工事種別ごとの請求額と判決額 |
図-10 事件区分ごとの請求額と判決額 |
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5.まとめ |
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これらは所謂「建築紛争」と言われる事件です。建築紛争の特徴としては、建築工事の損害賠償請求事件、一審(地裁)で解決(判決または和解)、「沈下」や「振動」または「建物の欠陥」の問題が多く、1事案当たりの平均の請求額約2500万円に対して1200万円程度で解決している事件が多いようです。
また、個人が法人や行政を訴える場合が多いようですが、結果としては結構厳しい結果となることが多いようです。
民事訴訟の判決に至るまでに要する期間は3年程度と言われていますし、上記の判決額のうち弁護士費用などが十分に認められるケースも少なく、時間的・金銭的な原告サイドの負担は少なくないと考えられます。
このためにも、出来る限り訴訟に至らずに解決できることが肝要と考えます。
この分析には現れていませんが、事件の内容を見ると損害の実体が明確にされず、原告側の主張が曖昧な事例が目立ちます。訴訟に至る以前に、適切な専門家(必ずしも弁護士ではありません)の助力を得て、相手方を和解の方向に導く工夫が必要ではないかと考えます。 |