建物全体の傾斜傾向を把握できる
精度の高いレーザーレベルによる測定を採用
万一建物に不同沈下が生じた場合、最も重要なのは居住性を左右する内部の床の傾斜状況です。事業損失で行われる家屋調査では、一般的に床の傾斜を測定する器具として、柱の傾斜測定器と同じ、長さ1メートルの傾斜計を採用しています。
しかし、この傾斜計を使用した測定方法では、床の仕上げ材の凹凸に測定結果が大きく左右されてしまう場合があります。また建物の部分的な傾斜しか把握できず、建物全体の傾斜量や傾斜傾向は判断することができません。
これらの問題を解決し、建物全体における傾斜傾向を確認するために、当社では一般家屋の床傾斜測定にレーザーレベルを採用しています。
これにより建物全体がどの方向にどの程度傾いているのかを高い精度で把握することができます(測定誤差2~3㎜)。また工事によって地盤変動が及んだ範囲を特定することも可能になります。
測定方法の違いを下図に示しています。傾斜計を使った測定では測定ポイントの傾斜しか把握できませんが、レーザーレベルを使った測定では各測点(A~H)をつないで測定を行いますので、建物全体の傾斜傾向を把握することができます。
傾斜計で測定した場合
レーザーレベルで測定した場合
一般的に住宅では家具やカーペットなどの障害物があり、傾斜計では測定箇所が限定されてしまいます。また、1箇所で2方向(東西方向、南北方向)を測定できないことが多くあります。それに対し、レーザーレベルは測定する箇所が点であるため、家具などを避けて測定が可能となります。また、測点をつなぐことで建物の傾斜方向がより精度高く確認でき、変形状況も確認することが可能です。
詳細なレーザーレベル測定を実施した場合、下図のように床の傾斜状況を精密に把握することも可能です。